2014-11-05

動物病院で働くということ。





足と足に挟まるのがたまらんらしい、ポパイです。





ニュージーランドにて動物病院で働き始めて早くも丸っと2年が経とうとしています。最初の頃は「ワタシの拙い英語で専門職なんて大丈夫だろうか。。。」とか「資格や免許もないのに、どこまでできるんだろうか。。。」とか、正味なところそんなことばかりを考えていました。実際に働いてみると、そんなことは考えている間もないほど、日夜、職場はカオスなのでした、が。


動物病院なので毎日たくさんの獣患、クライアントと時間を共にします。うちのクリニックはホスピタル、サージカルならびにキャッテリー、ドックケネル(小型、短期のみ)、パピースクール、ペットショップ、グルーミングそしてレスキュー動物のリホームならびにレスキュー団体に受け渡しもしている為、朝から晩まで「てんてこまい」という言葉が座右の銘のようなクリニックになっています(個人的な感想)。スタッフ同士のぶつかり合いも我が職場の風物詩。クライアントとボスがすんごい勢いで言い争う場面もしかり。


丸々2年働いてきて、最近になって動物に対する自分の考え方や方向性がちょろちょろと垣間見えるようになってきたような。。。と、始めた頃には想像もしたことがなかった自分の仕事に対する姿勢なようなものが出来てきました。これは間近で「生き死に」を毎日のように経験しているからかもしれませんが、時に、何が一番大事なのかということを分からねばならぬ、という。



たとえば、これは実際に頻繁に起こっていることなんですけど

「支払いが出来ないから、ウチの猫を、この額で出来る範囲で治療してくれ。」

と、言われることがよくあります。


しかし、

そのクライアントの猫は、

口腔内がめっちゃくちゃに虫歯だらけで、歯茎が腐ってそれはもう強烈な痛みと苦しみを常にその子に与えている状態なんです。1年以上、その猫の歯の問題を「お金がかかるから。。。」という理由できちんと治療していなかったので、その猫はご飯もちゃんと食べられず、脱水症状をおこし、骸骨のようにガッリガリ。1年以上も。もし完璧に口の中を直し、健康な状態までケアするとなると、それにはやはり高額な治療費がかかります。



「この額で、出来る範囲で。」




それはその猫に対して、この先も「苦痛」を与え続けることを意味します。ただそれだけなんです。払った治療費の意味は無いんです。時間とお金の無駄なんです。


で、時に、「治療費が払えないので、安楽死させてくれ。」


という依頼もあります。


実際に、高額治療の場合、お金の工面の出来ないクライアントだけでなくすべての人にこのオプションを獣医は提案します。

それはただただ、痛みに苦しんでいる動物を、そのまま放置することがどれだけ悲惨であるかを、クライアントに知ってもらうためなんです。



動物病院へ行けば、なんとかしてくれるだろう、と、


お金が払えなくても、病院なんだから助けてくれるだろう、と、


実際に現金も、銀行にさえ一銭もはいっていない状態で診察を受けにくる人も沢山います。


診察を受けた後で、36ドルの基本の診察代金が「払えない」という人も普通にいます。


今日も手術が終わったあとで、「このクリニックの猫の避妊は 無料だと聞いた」、と、喚いていたクライアントがいました。





「動物病院で働くこと」




は、実際に動物と暮らして行く上で、何が必要で、どんな知識や技術を持っているべきかだけでなく、


「どうすれば動物を守れるのだろうか?」


を、「生」を与えること、と「死」を与えること、の両局面を覚悟しておかなければいけないのだと、最近になってようやく納得ができるようになってきました。そしてそのことは、自分が動物を扱う上で、「自分の本当に関わりたいことではない」と、いうことも。その「関わりたくない」理由は、動物が死んで行くのを見るのが辛い、とかいうことでは無いです。そういう人は、この職でなく動物を扱う仕事は向いていないのでは無いかと思います。




今はまだこうして、動物病院での仕事で学ぶことが五万とあるのだけれど、

今後はもう少し、違うジャンルの仕事もしたいと考え始めてます。今すぐにというわけではなく、今からワンステップ進むなら?を考えたときのことです。
動物関連の仕事として。ニュージーランドであるからこそ、できる仕事を。


それにはもう少し、違うジャンルの勉強をしなければならないけれど、

一つ学校を終えた今、やろうと思えばいつでも出来る(自信だけはある)気がします。

そしてそれが出来るようになったら、最強なような気がします。(自分だけの中で)




さて、文句ばっかり言わず、ガンバろっと。











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