雨の週末、オークランドよりコンニチワ
今週末は私用がごまんとあり スノーボードはお預けー
なので ちょっと 仕事でのお話でも。。。
先週始めのこと 早朝に1匹の急患猫がウチの病院へ
生後半年ほどのその猫は なんと義理母がブリードした猫で
3ヶ月ほど前にウチの病院の近所のお宅に貰われてった猫だった
まだ義理母の手元に居た頃のこと
NZの朝のお決まりTV ONEのニュースにその猫が出演したことから
みんなから「スター」と呼ばれてとても可愛がられていた
急患で運ばれてきたとき 狼狽する飼い主の腕の中でのスターは
意識無し 背中には明らかな犬の咬み傷 低体温症 汚物はだだ漏れ
本当に酷い状態だった
ひとまず、意識が戻るまで点滴と体温を上げる処置が施された
犬の咬み傷のある背中には穴が開いており ねっとりした血が止まらなかった
身体は氷のように冷たい
私は日がな1日 スターを暖めることに徹底していた
その日のお昼頃 かすかにスターが鳴き始めたので
「これは希望があるかも。。。」と、スターを心配する飼い主を含め
今後の治療ができるかどうか、出来ない場合の安楽死についての診察がされた
そのとき飼い主から
スターがこうなってしまった状況について詳しい話を聞いたのだけど
それがあまりにも酷い。。。。
スターの飼い主の住む地域はMangere Bridgeにある閑静な住宅街
近くには小高い丘もあり海も見えるので 人が犬を連れてよく散歩をしている
しかしここ数日のこと。。。
スターの家付近を犬を完全にノーリードで散歩しているアイランダー系の2人組がいるという
スターが犬に咬まれ 瀕死の状態で見つかった日の早朝のこと
何か動物の唸る声が裏庭から聞こえたため スターの飼い主は不審に思いその裏庭へ
そしていつもその時間 室内にいるはずのスターも居なかったので
裏庭にしか出ないスターがどうかしたのかと思った飼い主
スターの名前を呼びながら彼を捜していた
しかし暫く捜せど スターの姿は無い
家の中にも裏庭にも居ない
なので家の表側、道路に面する庭の方へ出てみると
庭と一般道路の遊歩道の境目付近に何かを見つけた飼い主
それは微動だにせず横たわるスターだった
とにかくその日はスターの生命力を信じて 意識を戻す処置だけ行われ
翌日にレントゲンを撮り 治療可能かどうかの診断がおこなわれることになった
翌日
朝一番でスターの飼い主が来院して その朝あったことを教えてくれた
犬をノーリードで住宅街を散歩させているアイランダー系2人組のその犬が
その朝 やはりスターの家の裏庭まで侵入し しばらくウロウロしていたらしい
そしてその4、50メートル後方を
その犬の飼い主であろうアイランダー系の2人組が歩いていたと
もちろんその犬はスターのお宅だけでなく そのまわりの近所の家々にも勝手に侵入
これは明らかに法律違反
スッタフォードシャーブルテリアのクロスと思われるその犬は身体も大きく
スターの飼い主は怖くてどうもできなかったという
そしてスター
その日完全に意識が戻っていたスター
レントゲンを撮ったスターの身体は
背骨が完全に粉砕されて 肺の片方はつぶれており
肝臓もダメージをうけていた
手の施しようが無かった
飼い主はスターを安楽死させてやることに同意した
犬にも 他の猫にも もちろん人にも子どもにも
なつっこく 近所のちびっ子からも人気のあったスター
ご主人を亡くされてから スターが家に来てくれたお陰で
「近所の子どもらが遊びに来てくれるので嬉しい」と始終話していたのに
スターの死を 子どもたちに伝えることは 本当に辛いだろうと思う
スターを目に入れも痛く無いほど可愛がっていた飼い主を皆知っていることもあって
泣いて震える飼い主を慰める言葉を 誰もかける事が出来なかった
こんな事件は 今回だけではない
犬に咬まれて安楽死させる猫は 結構多い
小型犬もしかり
自分の犬は賢いと信じて疑わないのか ただだらしがないだけなのか
犬を管理できない人は どこにでも存在する
もし今回の件が猫ではなく人間の幼い子どもであったなら
否、幼い子だけでなく 誰しもが危険な目に遭う可能性だってある
現在、そのアイランダー系の2人組と犬の写真を撮って
ドッグコントロールとよばれる組織と警察に提出することになった
近隣のカウンシルと動物病院(その犬が通院していると思われるところすべて)にも
うちの病院からインフォメーションが通知される
(NZでは危険と思われる犬や虐待されている動物は、通報し証拠がとれれば
保護団体がその動物を強制的に飼い主から没収できる)
スターが死んでしまったことは もうどうすることもできない
次の犠牲者が出ないように
早くその犬とその飼い主が「管理」されることを願うばかりである